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農場内の事故


農場で人間が被害を受ける事故として、機械による事故、牛による事故があります。

トラクターがバックする時に、後ろにいた子供を轢いたり、
トラクターの回転軸に手を挟まれたり、
サイレージの踏圧の時にジョベルカーが転倒したり、
牛に蹴られて大怪我をしたりもよくあります。

以前、牛に腹を蹴られて内臓破裂を起こし緊急手術をした農家もいました、
またお産の時に興奮した牛に突かれて骨折をしたり、
和牛の角が胸にささり死亡したり、
牛の横に立った時に膝を蹴られて靭帯が切れて2ヶ月間入院したり。

農場の中で牛が被害を受ける事故として。

牛床が滑りやすく、股関節脱臼や外傷ができる。
寝起きの時に乳頭を踏む。
新しく入れた牛がいじめられて大怪我をする。
除糞作業中に機械で牛に怪我をさせる。
スタンチョンで変な寝方をして起きられず窒息死する。
風で飛んできたビニールを牛が食べて腸閉塞を起こし死亡する。
フェンスに結んでいたロープに足が絡み骨折や脱臼をする。
発情した牛に乗られて起立不能になる。
お産後、後産を食べ喉に詰めて窒息死する。
さびたスノコが壊れ牛が尿溜めに落ちて死亡する。
さびたスノコに足を突っ込んで怪我をしてフレグモーネになり
痛さでエサ食いが落ち、数ヵ月後には痩せすぎて廃用になる。
さびて壊れた鉄のフェンスあるいは水槽や餌槽で牛が怪我をする。

これらは私が農場で目撃した事故です。

これらの事故の多くは、予測できたことで予防しようとすればできました。

たとえば、すべり易い床は改造をしたり、マットにしたり、ノコクズや乾燥剤を撒いて滑りにくくできます。

壊れたフェンスなどは、その都度、修理をしたり取り外したりすれば怪我はしません。

牛舎の中でどんな事故が起こる可能性があるのかを確認して、その部分をしっかり整備していけば、かなりの事故が防げます。

死亡までにならなくても、怪我をして治療費や産乳量の低下、繁殖の不良などとロスが出てきて、数十万円のマイナスになります。

失敗学の中では、失敗した原因を今後に生かすために、細かく分析します。

たとえば「壊れたフェンスを修理する」という作業がうまくできないとき、それはなぜか。
壊れていることに気づいてないのか、自分で修理する技術がないのか、気づいて技術もあるのだけど、時間がないのか、ヤル気がなくてどうでもいいと思っているのか、気づいているけど「まあ、怪我はしないだろう」と、あまく予測しているのか、ヤル気も技術もあるけどお金がないのか、などです。

もし、「壊れたことに気づいていない」となると、壊れていることを気づくためにどうすればいいのか、月に一回は農場内の整備の日を作って点検するとか、気づいた人が事務所のボードに大きく書き出すようにするとか。

よくあることが、壊れたことをお母ちゃんは知っているのに、それを修理するお父ちゃんに伝わってないのです。

また、壊れていることはわかっているのに、農作業が忙しくて手がまわらないのです。

忙しくても、ヤル気がなくてもそれができるようにする仕組みをどうするかです。もし、忙しかったりヤル気がなかったりするようなら、お金はかかりますが外注すべきです。

外注する時も、誰がいつどのように、そしていつまでに終わらせてもらうのかなどを確認してスケジュールの中に入れなければ、実行まで行き着きません。

人間や牛が怪我をする大きな要因に、段取りが悪くバタバタとしている、あるいは人間の体調が悪く注意不足であったり、農場内の人間関係が悪く、けんかした後に集中力がなく失敗が起こったりします。

このような段取りの悪さ、注意不足、集中力のなさなどが日頃から起こらないようにするには、なにをどうするのかまで考えていなければ失敗を防ぐことができません。
by agricoach | 2007-04-18 22:15 | 失敗学


メールは 673258.gtwsbc@gmail.com まで。獣医行動科学研究会 


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