カテゴリ:行動科学( 15 )

帝王切開を例に 2

保定 

立位

枠場保定の場合は、枠場に入れ尾を体の右側にまわして結ぶ。 (山本)牛が座り込む可能性がある時は、枠場に入れずに、ポールやロープで保定するほうが対応がしやすい。(山本)牛が座り込んだ時、左側が上になるようにするために(左けん部切開の時)、術前に右後肢の球節の上をロープで結んで、牛の左前肢のほうに伸ばしておく。もし、座り込みそうになったら、そのロープを農家に引いてもらい右後肢が下になるように座らせる。

(蓮沼浩)右後ろ足の球節の上部にロープを結び、そのロープを左前方に置いておく。長さは2mあれば十分。手術中に牛が座り始めたときに、農家さんもしくは助手に肢を左前方に引いてもらうことで、術創が下にならないように伏臥もしくは右横臥させるため。(阿部紀次)崩屈することを前提にし、腰にカウハンガー&胸に平打ち縄を装着し、梁ないしはトラクターなど重機に吊ります。

目隠し(目隠しをすることで、牛がおとなしくなる。)(山本)目隠しは、バスタオルか毛布(1/2にカット)がいいです。軽いと牛が頭を振った時に外れます。頭絡で挟み込めばずれません。

枠場を使わない時は、牛体の右側を壁際あるいは柵際に寄せ、牛の左側に長い(4~5m)のポールを牛床から高さ80cmの位置で固定し保定する。ポールを使わない場合、ロープでも代用ができる。切開の時に左後肢で蹴ろうとする場合は、左後肢の球節の上をロープで結び、後に軽く引っ張り蹴れないようにする。

(蓮沼浩)産道に子牛が乗っている場合は必ず子宮内に押し戻しておく。このことにより手術中に陣痛からの努責が起きることを予防する。腹圧が上がるとルーメンが出てくる可能性が高くなる。

横臥

診断途中で座り込みそうな時は、初めから横臥による手術にする。(蓮沼浩)産道に子牛が乗っている場合は必ず子宮内に押し戻しておく。このことにより手術中に陣痛からの努責が起きることを予防する。横臥で手術する場合は特に努責が起きやすいので注意する。左を上に、横臥させ前肢2本をロープで固定し、後肢2本をロープで固定し柱などに引っ張って暴れないようにする。頭の下に、ワラなどで枕をし(頭の擦過傷の予防)、目隠しをする。尾を結び、振らないように固定する。(汚染防止)

準備

(蓮沼浩)血管確保のために、動物用生食V注射液(ZENOAQ)2L、動物用留置針14GNZK)、トップ動物用補液セットTIS2-A03、トップ連結管を用いて留置。点滴速度は1分間で120滴。点滴には結晶ペニシリンG明治300万単位を混ぜておく。母牛が弱っている場合、過度に敏感な場合、術中に座りそうな気配がある場合はフォーベット50(インターベット)20mlも混ぜておく。

(蓮沼浩)血管確保が終了次第、子宮平滑筋弛緩剤、塩酸クレンブテロール(プラ二パート、共立)10mlを頚静脈から静注する。このときは点滴に混ぜないで留置針のところから直接投与する。最初に投与することで、子宮の収縮を抑制し、陣痛からの努責を抑える。これにより、手術中にルーメンが術創から脱出することを防ぐ。薬効は手術が終わるまで充分に効いている(1.5時間~2時間)。手術中にどうしても努責が強く、ルーメンが出てくる時は塩酸プロカインを5ml尾椎注射する。

縦切開の場合、左けん部の坐骨前縁から1215cm前方、腰椎横突起下縁から5cmを中心線に幅10cm長さ50cmを毛刈りする。(カミソリで毛ぞりしてもいい)。斜切開の場合は、坐骨前縁78cmを起点に最後肋骨より78cm後方に向かって斜めに毛刈りをする。

(清水大樹)外部からの触診で右角か左角の妊娠している胎子に近い方から切ります。切開は腰角から最後肋骨に向けての斜切開をします。過大子の場合など出しやすくなると思います。切開距離も大きくなるためです。角度も子宮に沿っています。

(山本)ドレープを使わない場合は、幅50cm×長さ60cmの範囲を毛刈りする(術野周囲からの汚染を予防するため広い範囲を毛刈りする) ブラシを使い石鹸で洗い、水で流す。

塩酸プロカイン40mlを切開予定創に沿って皮下に浸潤麻酔をする。

あるいは 腰椎分節硬膜外麻酔をする。麻酔が効くまで15分かかるので、保定後麻酔をする。

(清水大樹)硬膜外針を刺入する際に背弯姿勢を取らせないと針が椎間に入りずらいと思います。助手が居れば直腸検査で背弯姿勢を取らせることが可能ですが、背弯しづらい牛もいます。僕は左手で直腸検査手袋を消毒して膣に挿入して背弯させます。そこから右手で硬膜外針を挿入します。そうすれば一人でできます。教科書的には胸腰椎間に刺入ですが、第1,2腰椎間の方が刺入し易いと思います。そこが駄目なら胸腰間で実施します。注意点は背弯すると皮膚が動くので刺入点から目的の椎間に少しずれが生じる点を考慮する必要があります。(清水大樹)腰椎分節硬膜外麻酔術 ユーチューブ動画 https://www.youtube.com/watch?v=V87tpedkTJY

イソジンを噴霧する

毛刈りした部分の周囲(線状)と肩甲部(5cm四方)、十字部(5cm四方)、大腿部(5cm四方)、肋骨部(5cm四方)にドレープ接着用の接着剤を付ける

(山本)ドレープの付け方の動画(動画は第4胃切開時の右側腱部切開です)中央に幅5cm長さ20cmの穴を開けたドレープを固定する。切皮予定線までドレープの穴を延長する。(山本)ドレープを付けて窓をあけてもいい。

手術

(山本)助手が確保できれば助手がいたほうが作業性はよくなるし、手術の精度があがる。 坐骨前縁から1215cm前方、腰椎横突起下縁から810cmを起点に、垂直に皮膚を35cm切開する(

垂直切開の場合)1層目(外腹斜筋)の筋層を35cm切開する。出血がある場合は、鉗子で510分挟んでおくと止血する。2層目(内腹斜筋)の筋層も35cm縦に切開する。同じく止血する。3層目(腹横筋膜)は手で筋層を剥離して、腹膜まで到達する。皮膚を切開した後に、牛が座り込んだ場合、術者は、まず汚染しないように手で切開創を覆い、その後、タオル鉗子を5本使い、切開創に78cmごとに皮膚を挟んで、汚染を防ぐ。可能ならドレープの左右を折り曲げて切開創に被せると汚染を防ぐことが出来る。タオル鉗子をつけた後に、再度牛を立たせるか、横臥姿勢にして手術を進める。ドレープが汚染した時は、付け替える。

筋層から血が滲み出すときは、滅菌タオルを切開した筋層に被せて、吸血する。腹腔内に血液が入ると癒着の原因になるので、なるべく除去する。

第1胃を傷つけないように、腹膜を鉗子で摘み、メスあるいは鋏で腹膜を切開する。

横臥の時、第1胃のガスにより第1胃が切開創より飛び出すことがある。その時は套管針により第1胃に刺入し、ガスを抜く。抜いた後は特に縫合の必要はなし。

頭位の場合は、胎児の後肢を探し、飛節を確保し、両後足の蹄を切開創から出す。この時に助手は飛節を保持して創外に露出させる。胎児の足を切開創の外まで出せない時は、腹腔内で子宮を切開する。この場合、メスで子宮を5cmの切開をし、その後、鋏で35cm切開する。(ハサミで切開した方が、胎児や臓器を痛めることがないから)原則、子宮を切開創の外に出し、胎水が腹腔内に入らないようにする。もし、子宮内に助産の時に産道より菌が入っていると腹腔を汚染するから。

(清水大樹)子宮の切開の大きさは子牛の後肢の飛節から球節までの距離を基準に切開します。(清水大樹)子宮捻転などの場合は非常に弛緩しづらく腹部での切開になりがちです。腐敗胎子もそうですが、その際には滅菌したタオルを創口の下に入れて汚染された液体が腹腔内に入るのを防ぐ努力をしています。

メスで子宮を10cm切開し、その後、ハサミで35cm切開する。切開は35cmは大きめだが、子宮の切開が小さいと胎児が大きい場合に子宮が裂けることを予防できる。(堀北哲也) 5cmほどメスで子宮を切開した後そこに指を入れ手で子宮を裂くように用手切開する。利点:筋層に沿って子宮が裂けるので縫合・癒合が容易。切開長が短く胎子を引き出すときに子宮が裂けたとしても用手切開した方向に裂けるので直線的な切開創となり縫合が容易。(堀北哲也)子宮を腹壁の切開創外に引き出せず腹腔内で切開する時は、子宮基部で切開せずできるだけ子宮先端に近い部位で切開する。(焦って子宮を切開したら子宮基部に近い部位であり、胎子牽引後縫合する時に、みるみる収縮する子宮が腹腔内深くに戻ろうとするので、それを助手が把持し術者が縫合するのに苦労した。腹壁切開創外に子宮が引き出せないからといって焦ることなく、腹腔内の子宮の位置・状態をちゃんと確認すればよかった・・・)

(蓮沼浩)胎仔を娩出する前に点滴を全開にしておく。このことで、胎仔娩出後の急激な腹圧減少からの血圧低下を予防し、母牛が突然座り込むことを防ぐ。

蹄に被っている胎膜を切開して、胎児をかかえて引っ張り出す。

(山本)滑車を使わない場合でも、胎児の足に産科ロープを付け、農家に引っ張ってもらうと、出しやす。滑車を使う場合は、蹄に被っている胎膜を切開して、産科ロープを両後足の球節の上に付け、滑車と連結して引き出す。双子の確認。 胎盤は子宮切開創から飛び出して縫合がしにくい場合は、鋏で出た部分だけ切り取ればいい。子宮内の胎盤は剥がす必要はない。胎児の早期死亡などで胎盤がすぐに剥がれる時は、胎盤を取り出す。

(蓮沼浩)子牛の娩出が無事に終了し、母牛もしっかりしているようであれば点滴の速度を元に戻す。

(山本)立位の時、子宮を縫合するときに、トレイに滅菌ドレープを敷き、子宮をトレイに乗せ、農家にトレイを保持していてもらうと縫合しやすい。(的場亮平)子宮鉗子で子宮を保持すると縫合しやすい。

子宮の縫合は、ユトレヒト法を使い、縫合糸の結紮部が埋没するように縫合する。(子宮の癒着を防ぐため) ユトレヒト法とユトレヒトちょこっと変法 http://youtu.be/wF2bDQ1XPuA

子宮縫合の始点と終点は、3回糸を結んで解けないようにする。

子宮の縫合後、生理食塩液(13リットル)で血液を洗い落とす。(子宮の癒着を防ぐため)

横臥の時の縫合は、子宮を切開創から出し、ドレープ上に置くと縫合しやすい。 (山本)子宮の縫合時は、針を通す毎に糸を引っ張って緩まないようにする。縫合部に指が入る隙間があってはいけない。

子宮の漿膜が裂けた部分は、子宮が癒着するのを防止するために子宮の筋層が露出しないように漿膜を縫合する。縫合の後、縫合が緩んでいないか、子宮の漿膜が裂けていないか、血餅は付着していないかを確認する。特に子宮頸部まで、裏と表を確認する。

(的場亮平)子宮の切開創や胎仔の牽引で生じた裂創の始点が腹腔の深い位置にある時に、子宮鉗子を使うと切開部を腹壁外に挙上する操作が楽に行える。

癒着防止のために10%トラネキサム酸(日新製薬、止血剤)30mlを切開創に塗布する。

腹膜と3層目(腹横筋膜)の筋層を一緒に下から連続縫合する。半分ほど縫合したら抗生物質を溶かした生理食塩液1リットルを腹腔内に入れる。(中村康男)エンゲマイシン(10%OTC)、25mlをリンゲル500mlに混ぜ腹腔内投与し、20mlほどシリンジに残しておき縫合時に1層ごとに縫合部に掛けています。(島本正平)術時の抗生物質はプロカインペニシリンを利用しています。

2層目(内腹斜筋)、1層目(外腹斜筋)を縫合する。縫合するときは奥の筋層も引っ掛けて死腔ができないようにする。死腔ができると血液や漿液が溜まって、腫脹や汚染の原因になる。(清水大樹)切開創が大きいので止血を完璧にする(死腔に血液寒天培地ができる)創を閉じるごとに洗浄して死腔を作らないように2,3糸に一回は下の創も含めて縫合するなどの事をしています。手術をする上で当たりまえですが、死腔の形成にはかなり気を付けます。術野への抗生物質の塗布や、腹腔内注入の効果については東京農工大学の小久江先生が否定していたと思いますが、私の周りでは当たり前に実施されています。筋層にも抗生物質を振りかける。生理食塩液で5倍に希釈した抗生剤を20ml使う。(蓮沼浩)抗生剤は懸濁水性プロカインペニシリンG明治を全ての層に直接振りかける。各層10ml使う。

皮膚を縫合する

汚染防止用に外したドレープを幅5cm長さ40cmに切り、接着剤で切開創に貼り付ける。汚染防止用のカバーをしない場合は、毎日農家に消毒をしてもらう。使うのは、マイター(養日化学研究所、25100倍希釈)、や2%ポピドンヨード。乳牛の場合、搾乳用のディッピング液、ヨーチンは、皮膚への刺激が強いので連用しないこと。

(蓮沼浩)手術が終了したら、点滴を全開にして残りを流す。


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by agricoach | 2017-02-10 22:31 | 行動科学

帝王切開を例に

帝王切開を例に考えてみます

禀告

何時から分娩が始まったのか。分娩の徴候は、尾を少し持ち上げる。牛房を動き回る。いきみが出る。破水の有無、半日以上経過しても破水しないときは子宮捻転の可能性あり。陣痛の強さ。予定日、予定日より1週間以上前の場合は双子の可能性あり。分娩を介助した後は、必ず双子確認をすること。予定日より2週間以上前の場合は胎児奇形の可能性あり。胎児の体型奇形、結合体位、胎児の腹部異常膨満のために分娩できないことがある

診断  

どのような時に踏み切るのか。胎児の蹄が大きく、外陰部から1つの蹄しか出ないときは、帝王切開(ほとんどが初産のとき)。頭位上胎向の時は、両前肢球節の上に産科ロープを付け、頭が産道から、ずれないように後頭部にも補助ベルトをかけ、この状態で牽引しても、頭部が骨盤腔内に入ってこないときは帝王切開にする。また、頭部が骨盤腔内に入ってきたとき、術者の腕を産道に挿入して上腕まで奥に入らないときは切開。ロープで胎児の足を牽引した状態で、胎児の後頭部を探った時、後頭部全体に手が回る時は、そのまま経膣介助。狭くて後頭部を全て触れないか、触れても手が痛いほどの時は、帝王切開。(堀北哲也)失位整復を始めるときに時間を確認し、農家の人など周囲の人に「30分経ったら教えてね」という(自分は夢中でやっているため時間経過の感覚が狂うので)。30分後、まだ失位整復中だったら一休みし、状況は好転しつつありあと少しで経膣分娩させられるのか、状況は進展していないのかを判断する。前者であれば、「あと15分やってみようね、時間お願いします」、と言って失位整復・分娩介助を続ける。後者だったら帝王切開に移行する。前者の場合、15分後(開始45分後)にまだ娩出できていなければ帝王切開に移行する。(堀北)助産時、自分が焦ってきたなと判断する方法。分娩介助中の手指の消毒がおろそかになってきたら、「ああ自分は焦ってきているな」とゆっくり三回深呼吸する。助産開始時は、ちゃんと手を消毒し、途中、産道に入れている手を入れ替えるたびにちゃんと消毒液バケツに手を入れているのですが、介助が思い通りにいかずだんだん焦ってくると、「あれ、あれ、おかしいな」と思いつつ、産道の手を入れ替える時も消毒することなく手を入れ始めます。そんな自分の行為を、自分の焦りのバロメーターにしています。

尾位の場合はロープで胎児の足を牽引した状態で、胎児の骨盤を探った時、臀部から仙骨十字部付近まで手が回る時は、そのまま経膣介助。狭くて尾根部に触れるばかりで、骨盤を全て触れない時は、帝王切開。尾位の場合はロープで胎児の足を牽引した状態で、胎児の臀部を触った時 、お尻の筋肉が丸みを帯て、柔らかければ、そのまま経膣介助、お尻の筋肉が伸びきったままで固い時は、帝王切開。

(山本)尾位の時、臍帯が太ももの内側を通って前方に行っているときは、そのまま牽引すると先に臍帯が切れて胎児が死ぬので、牽引を初めたら2分以内に引き出すこと。引き出した後は救急処置が必要なので、救急用具を事前に準備しておくこと。2分以内で引き出せそうにないときは帝王切開。胎児が死亡する前提で経腟分娩にするか、帝王切開にするかは畜主と相談する。和牛と乳牛では状況が異なるので畜主と相談する。(清水大樹)腐敗胎子と巨大胎児の場合の対応、頭部や肢関節が変形している骨格異常の場合、産科ロープをかけ牽引してびくともしないときは帝王切開。(山本)牽引して母牛が、引きずられる時は帝王切開。胎児がすでに死亡し、子宮内で腐敗して皮下に気腫が溜まり、胎児が膨満している時は帝王切開。ただし術後の腹膜炎、子宮筋炎が高い確率で予想されるので畜主と相談して手術を決める。

頭位でも尾位でも正常に産道に入っていて、子牛も異常過大児でないのに、牽引してもびくともしないときは、骨格奇形や奇形による腹部の異常膨満の可能性あり、帝王切開。子宮捻転が360度以上で、手腕を頚管内に入れることが出来ず、後肢釣り上げ法や母体回転法でも整復出来ない時は、腹壁を切開して捻転を整復し経膣分娩か整復後帝王切開。胎児の失位で、肢、蹄、頭部が全く触れないとき。この場合、腹壁を切開し、腹腔内に手を入れ、子宮の外側から胎児を整復後経腟分娩させる。この場合2人の獣医師の連携で行う。子宮を小切開し胎児を整復し経膣分娩する方法もある。この場合も2人の獣医師の連携で行う。ただし助産介助で時間がかかり(15分以上)子宮内が汚染されていそうなときは、小切開創から腹腔を汚染するのでこの手法はとらないほうがいい。経膣分娩か帝王切開かを迷ったら、帝王切開をすべきです。介助に時間がかかりすぎて母子共に衰弱してからの帝王切開では、生存率が下がるので、できれば帝王切開の判断は、520分以内にすること。

準備品

手術道具、バリカンかカミソリ、石けん、イソジン、

ドレイプ120×120cm(1枚約300円シグニより購入、中央に幅5cm長さ20cmの穴を開け、滅菌する)(通常は4胃変位の手術用の穴のサイズ)、生食3リットル(腐敗胎児や子宮内が汚染している場合は510リットル)。塩酸プロmlカイン40、硬膜外針(16ゲージ、120mm、Touhy針、八光ディスポーザブル硬膜外針)、硬膜外麻酔の時はキシラジン0.025mg/kgとリドカイン 0.1mg/kg混合液に生理食塩水を加えて5mlとする。0.5ml/秒の速度で投与(堀北哲也)硬膜外麻酔の実投与量はキシラジン0.010.017mg/kg(セデラック2%液 0.30.5ml/600kg)+リドカイン0.1ml/kg(キシロカイン2%液 3ml/600kg)+生食3ml、(清水)セデラック2%液 はBCS3.25以下0.3ml、BCS3.25以上0.5ml。リドカインは体重100kg当たり、1ml、接着剤(ホームセンターで売っている物、例えば木工用ボンドやG17 ゴム、皮革、金属用 コニシ(株))、子宮平滑筋弛緩剤、塩酸クレンブテロール(プラ二パート、共立、10ml)、子宮鉗子(ウテルス鉗子)、10%トラネキサム酸(ヘムロン注、日新製薬、止血剤)30ml、套管針(第1胃のガス抜き用、左上横臥で手術をする場合、第1胃がガスで膨満するので、その時にガス抜きで使う)、滅菌タオル3枚(腐敗胎児の場合は10枚)。タオル鉗子57本(立位での手術中に横臥した場合、創口を一時的に塞ぎ汚染を防ぐため)。ペーパータオル10枚、子宮と筋層の縫合用の針は、一般的には外科強彎丸針 910 バネです。子宮と筋層を縫合する時の大針(大針の方が、子宮と筋層の縫合時の作業性がよく、短時間で縫合できます)、子宮や筋層を縫合する時の、大針のつくり方https://youtu.be/nvswTBBD254 (的場亮平)縫合糸:synthe sorb metric 8 usp 6 (山本)synthe sorb metric 6 usp 3+4 (蓮沼浩)SyntheSorb 5

楽に切開部から子牛を牽引するためには滑車を切開創の斜め上3mに取り付ける。特に横臥で手術する場合は、4050kgの胎児を引き上げるのに力がいるので滑車は必要。


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by agricoach | 2017-02-10 22:29 | 行動科学

行動科学での行動とは

行動とは

行動科学での行動とは、ひとつひとつの動きです。

たとえば、たとえば「水を飲む」を行動に分析してみると。「コップを見る、右手でコップを握る、コップを口の高さに持ち上げる、口をつける、コップを傾ける、口の中に入ってきた水を飲む。」となります。他に、例えば「牛の採尿をする」は「尾の先端を一重つなぎで結び、牛の首にかけて尾を固定する、外陰部を2リットル以上の水で洗う、外陰部を左手で5cm以上開き、右手に持った膣鏡を上1020度の角度で5cm挿入後水平に挿入する、膣鏡のねじを回し膣鏡を開く、授精用のシース管に吸引用に20mlの注射器を付ける。外尿道口からシース管の先端を上1020度の角度で5㎝挿入し、方向を変え下1020度の角度で尿道に入れる。尿道憩室にシース管の先端が引っかかったときは、シース管を手前に23㎝引き、もう一度シース管の先端を上1020度の角度で入れ、次に方向を下2030度に向けて再度挿入する。尿道に入ったらシース管を20㎝入れ、注射器で尿を吸引する。」となります。

他に例えば、「毛刈りし術部をきれいに消毒しドレイプを付ける」は行動科学では、「毛長1mmのバリカンで幅10cm長さ20cmの範囲を毛刈りし(毛刈り部)、毛刈り範囲の外10cmの範囲まで洗浄用ブラシを使い石鹸で汚れを取る。その後水道水20リットルを使い石けん分を洗い流し、スプレーを使い2%イソジン液を術部全面に3回噴霧し30秒待つ。ペーパータオルを10枚使い毛刈り部周囲の水分を取る。毛刈り部周囲にドレイプ固定用の接着剤(G17コニシ(株))を線状に付け120cm×120cmのドレイプを固定する。」となります。

このように、行動科学では行動を細かく抜き出し、他の人でも行動を再現できるように分析して書き出します。

技術の分析

ひとつの技術は多くの行動から成り立っています。例えば帝王切開にしても、胎児の生存率が高く、手術後の受胎率が高く、術後の感染症がほとんどない帝王切開ができる高度な技術をもった獣医師の行動を細かく抜き出して、それを新人獣医師がコピーすることで成功率を高くすることができます

例えば帝王切開では農場に到着して禀告の質問は、何を聞き、何を判断したか。牛の診察準備のために道具は何を何個準備したか。診察の時、牛の保定はどのようにしたのか。どこの何をどのように診て、診断したのか。手術に入る前の保定、術前の準備(毛刈り、消毒、ドレイプ)、切開場所(起点と終点)、長さ、筋層の切開の仕方、縫合の仕方、アクシデントが発生した時の対応方法、術後管理はなど。細かい行動にまで抜き出します。

行動を抜き出して、それを元に電話対応、準備、診断、保定、手術、術後管理のチェックリストをつくります。そのチェックリストからピンポイント行動を選びます。

ピンポイント行動とは、一連の行動の中に潜む、「結果に直結している行動」のことをいいます。このピンポイント行動をチェックリストの中から特に重要だと思われるものを2~3個絞り込みます。

たとえば、帝王切開では

1.5分~30分以内の、手術開始の判断。(母牛の産道損傷や汚染しないよう、子牛が衰弱しないよう。)

(子牛の生存率を上げ、母牛の受胎率をあげるためには難産介助を長い時間行い母牛の子宮内を汚染させ胎児を衰弱させ母牛を衰弱させるのではなく、いかに迅速に手術の判断をするかにかかっています。)

2.術式の的確な判断。(過大児、奇形児、腐敗胎児、起立不能時などの時に、立位か横臥位か、左か右か、切開場所、切開長はなど)

3.汚染を防ぐ対応。(清潔な術式、環境対策、座り込みなどのアクシデントへの対応)

こうして選んだピンポイント行動を、具体的な行動に落とし込んで誰が読んでも必ずその行動を再現できるような表現にします。技術の行動の書き出しをして、それに基づいてチェックリストを作り、その中からピンポイント行動を決める。


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by agricoach | 2017-01-25 23:18 | 行動科学

行動科学の利用範囲

行動科学の利用範囲

部下の獣医師がうまく診療出来ない時、知識がないのか、知識が不足なのか、知識はあるが技術が未熟なのでできないのか、知識も技術もあるのにやらないのか。技術は、どの部分が未熟なのか。優秀な獣医師の行動と比較して「できていること」「やっていないこと」「できているがやり方が未熟なこと」「できるのにやらない」の区別をすることで、出来ない理由を整理することができます。


上司は、そのできない部分に焦点を当てて指導することで、より具体的に効果的に指導できます。

私が育ってきた時代も今もそうですが、上司が新人を教育する時、新人がうまくいかない時は「早く手術の判断をしなかったからだ」とか「しっかり、縫合しなかったからだ」とか「術後の消毒が悪かったからだ」とか「アクシデントに対応する準備をしてなかったからだ」とか「テキパキしてないからだ」とか「場数を踏まないと無理だな」など重要なポイントは突いているのだけど、具体的に何をどうするのかを示してないので新人が習得するのに時間がかかり、また新人によって習得できない場合もあります。


NOSAIの診療所では、中途採用が時々あります。他の診療所で数年間経験を積んでいるから、全部任せて大丈夫だろうと思っていると、実際は細かいところでやり方や考え方が違っていることは頻繁に起きています。人によって技術と知識の習得状況が違い、それが診療の質の低下と農家からのクレームにつながっています。他から移動してきた人、経験を積んでいる人ほど入念なチェックが必要です。新人獣医師が採用され、しばらくの間は先輩獣医師について回りますが、数人の先輩に付くと、付いた先輩によってやり方も考え方も違うので、どれがいいのかよくわからなかったりします。

診療所内でもベテランと言われる獣医師も、得意な分野と不得意な分野、興味のある分野と興味のない分野は誰でもあり、人によって知識と技術にバラツキがあります。診療所内の獣医師で質の高い診療かどうかの確認にも使えます。


上司の「部下が当然できるはず、知っているはず」は禁物です。いくらなんでもこれくらいは知っているだろう、こんなことはできて当然だなどの上司の思い込みが部下や後輩の成長にブレーキをかけています。優秀な獣医師の行動と比較して、「できていること」「やっていないこと」「できているが、やり方が未熟なこと」の割り出しをます。仕事の質と精度を高めることは、すべての獣医師にとって共通する課題です。

大動物獣医師の教育は、一般的に先輩獣医師に数カ月ついて回り、少しづつ一人で診療を回るようにして覚えていきます。会社組織でも行われているオンザジョブトレーニング(OJT)です。実際の仕事をしながら覚えていく教育です。教育される側がクローズアップされがちですが、まず第一に、指導する獣医師の行動を分解し、「標準化」することが重要です。これが徹底出来ていないと、先輩獣医師によってやり方や考え方が違い、教育される方が混乱をきたしてしまいます。ですので、OJTを始める前に必ず指導内容を細かく分解したマニュアルを作成し、指導する獣医師の間で共有することが必要なのです。そして、実際にOJTに入った後も、指導内容が標準化できているかどうかの確認を定期的に行うことが大切です。

診療所で当たり前に使っている言葉ほど、行動の分析と具体的な表現への置き換えが必要です。例えば「しっかりと消毒する」「きれいな白衣を着る」「長靴をきれいに洗う」「農家への説明を充分にする」などです。たとえば「しっかりと消毒する」ということは、ほとんどの獣医師が注意している事です。ところが獣医師によって微妙に手順が違っていたリ、道具や薬が違っていたりして、消毒の質と精度が違っています。「言葉の定義」というのは、多くの企業でも基礎的な確認事項として重要なポイントです。

診療車の薬や道具の置き方は、各自が考えて置いていますが、診療でどんな行動をするかを考えると、ある程度の配置が共通することだと思います。注射器を取り、針を付け、薬を注射器に入れ、空のアンプルやビンはゴミ箱に入れる。運転席から降りて診療を終わって車に乗り込むまでの作業動線、雨の時の作業動線。この行動の時に、時間を短く、手数を少なくし作業性をよくするには、何をどこに配置することがいいのかを考えるのも行動科学です。

また他のことにも使えます。自分で決めたことが、なかなかできない。3日坊主で終わる。目標を作っても、途中で挫折する。農家に受けのいい話ができない。農場内で従業員のモティベーションを上げられない。獣医の勉強が続かない、獣医関係の情報をまとめられない、診療車内での移動時間を有効に使い方法など。これらを解決するためには、どんな行動をすればいいのかにも行動科学は使えます。


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by agricoach | 2017-01-10 20:47 | 行動科学

行動科学

行動科学とは

動物行動学というのがありますが、それは動物の行動生態学、生理学、動物社会学、心理学、遺伝学、進化学、数理生物学など、動物の行動がどんな環境や周囲の状況でどう行動するのかを調べます。獣医師がかかわることは小動物、産業動物の分野ですが、人が望むように動物に行動してもらうためには、どんな環境や刺激をするべきなのか、人と動物がお互いにストレスなく係るために必要なことなどを研究する学問です。

一方、それとは似たような言葉ですが、行動科学という考え方があります。動物の行動ではなく人間の行動を科学する分野です。これはビジネスの分野で利用されていますが、どうすれば成果を上げることができるのか、どうすれば効果的に技術や知識を伝えられるのか、部下の業績を伸ばすためには何が必要か、いいとは、わかっているけど、なかなか継続できない事をどうすればうまくできるのか、などの課題も多くの組織で共通しています。他の人に仕事を教える時に「うまくやる」とか「徹底する」とかでは、なかなか思うような効果が出ないのが多くの会社で直面する課題です。獣医師が行動科学を利用することで役に立つケースが多いと思います。

行動科学では教える内容を知識と技術に分けます。知識とは、聞かれたら答えられること。技術は、やろうとすれば、できることです。

例えば知識とは、補液をする時、どんな病気のときにどの補液剤をどの割合で、どれくらいのスピードで、何リットル入れるのか。ショック状態になった時の対応方法などです。


技術とは、脱水が著しく血管を確保しにくい患畜にどのように血管を確保することができるか、長時間補液する時に、牛の保定方法や補液のセットができるか、アクシデントが起きた時に処置できるかなどです。

行動科学では「すべての結果は行動の蓄積である」としています。「結果が出たのは正しい行動を続けたから。結果が出せなかったのは、間違った行動を続けたから。偶然が結果を左右することはない。」と考えます。

例えば、あるやり方で帝王切開をすると1.5時間かかり術後の母牛の受胎率が70%で。ほかのやり方では1時間で終わり受胎率は90%だったら正しい行動は、当然1時間で終わるやり方です。


また、子牛の死亡率が高い農場を指導する時、どの項目をチェックして、それをどう判断して、農家の具体的な行動をどう決めて、農家に実行してもらうために、どのように説明してやる気を引き出すために、どんな手法をとって死亡率を下げるのか。成果を出している獣医師の行動を観察していいと感じたら、どんどん真似をすればいいのです。ところが、それが、なかなかできないのです。


「一生懸命に頑張る」とか「根性でする」とか「きっちりする」などは行動科学では、目標とみなしません。数字と日時を入れることで目標とみなします。気合いや根性、意志の力だけでは人間は動き出せない、続けられない、と規定しています。


農場などにも、「整理整頓!」「きれいな農場!」などの標語がかかっていることがあります。でも、これで農場がきれいになるのなら苦労はいりません。重要なのは、整理整頓をするための行動を具体的に示し、習慣化させて、定着させることです。整理整頓とは、具体的行動の積み重ねがあって、はじめて成り立つものです。精神論をいくらぶっても意味がありません。なぜ整理整頓が実行に移せず、続けられないのか? ①目標自体に問題がある②目標は実現可能でも、『実行し続ける仕組み』がない、その原因はこの2点しかありません。


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by agricoach | 2017-01-10 00:44 | 行動科学


2冊目の本ができました。今回の本はイラストをいっぱい入れています。       メールは kagryt5297wexv@btvm.ne.jp まで。


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