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チェックリスト

チェックリスト化


前に例に出した「帝王切開」の行動の分析をして、自分自身や部下がうまくできるかどうかを確認するためのチェックリストは紹介しました。

それともう一つ、行動科学では、日常よく行う行動にチェックリストを作りなさいといわれます。


繰り返す行動はチェックリスト化することで、ミスが減りサクサク動けます。リスト化してないと何をするのか考えながらすすめたりするとサクサク動けないし、ミスや忘れ物をすることが多いです。特に若手獣医師にとっては必需品ですし、経験者のはずの私も忘れ物をしたり手抜きをしたり見落としをしたりします。それを防ぐためにも、リストを使う方が行動の精度が上がります。


私が使うチェックリストとしていくつか紹介します。

下は、私が独自に作った肺炎のチェックリストです。治療をしながら治療の漏れがないかを確認するためです。これは私が今やっているリストなので必ずしも獣医学的に正しいとはかぎりません。チェックリストを診療所のみんなで共有することで見逃しを減らすことができます。診療所の獣医師の治療の質と精度を上げるために、チェックリストの作成は、診療所長の取るべき行動の一つです。

@肺炎チェックリスト

○抗生剤  マクロライド:タイロシン、ミコチル、エリスロマイシンの連用 ビクタス セファゾリン ドラクシン  フォーベット1ml/25kg 

○点滴   酢酸リンゲル1LKC20ml(子牛で123リットル。24時間点滴。)+25%ブドー500ml セファゾリン1gを静注後1gを補液内に入れる。

ディマゾン0.6ml1.2ml/30kg筋注 アミノ酸製剤 アミカリック輸液500ml か ユニカリックL 1000ml 合成抗トロンビンFOY プロビトール 100~200/50kg体重 点滴。点滴中は毎日Na Cl K Ca Mgの検査をする

○経口   ダイスパス 朝夕1個 エリスロ末 経口5g/日 アミノプラスK 5g/日  イソパールP テオフィリン 朝夕1

○輸血   500ml(へパリン5000IU添加)/50kg体重

○酸素吸入 流量3L/分 7立方mで2日間もつ

○吸入 ビクタス4ml+メプチン1ml 115分 12回3日間

○鼻ワクチン TSV2

○慢性肺炎 Amino Shure-L 1060g/day 2ヶ月 発育促進、アルファット(20%アルギニン)50100g/day 免疫アップ。予防 週に1回煙霧消毒 グルタクリーン RSウイルスの時は毎日消毒。

○初回ビタミンD3 3ml+ビタミンADE剤(ゼノビタンなど)35ml+ビタミンE注10ml+パンカル注10ml、ドン八ヶ岳ADE 50g×10日間飼料添加。 その後、月に1回ビタミンADE剤(ゼノビタンなど)1~2ml+ビタミンE注10ml+パンカル注10ml。バイオモアカット20/日を50日間

モネンシン。スターター(明治 ベネキング)として生後から5か月まで。最大3kg。5か月以後子牛の餌に変える。肺炎の子牛に使うのは効果あり。

○肺炎予防。検査 γグロブリンが1.0/100ml以下、コレステロ-ルが80mg/100ml以下の子牛は低栄養に起因する免疫機能低下。血糖値、BUNも検査。代用乳の質、量、給与回数、湿度、スターターの質、量の検討が必要。

以上が肺炎のチェックリストです。かつて、よく治療漏れがあり、牛が死亡してから「そういえば○○と○○をしてなかった」とかよくありました。これではいけないなと思いチェックリストを作りました。治療が終わって、あるいは帰ってからも治療内容に漏れがないかを確認できます。チェックリストは新しい情報が入った時は更新して作り変えます。

@甚急性乳房炎のチェックリスト

○水様性下痢、脱水、水様性乳汁、血様乳汁、乳房皮膚冷感、結膜充血、発熱40度以上

第1胃運動の停止、尿検査では高濃度の蛋白(80%発現)と潜血(50%発現)

ブツがある時は違うことが多い。発見時は軽度、乳房腫脹も軽度。起立不能、泌乳停止、高泌乳牛、

○抗生剤を使わない

○乳房洗浄 生食1L+デスフェラール500㎎(初回のみ)+デキサ5ml 朝夕 12回 3日間

○乳汁の細菌検査。血液検査によりCa Mg K Na Clチェック。

○高張食塩液 3L + 2550%高張ブドウ糖500ml +フルニキシル20ml

○血液検査でCaは低ければ、ニューボロカール500ml1000ml

○ヘパリン 510万単位1日、輸血 23 L

○経口投与 水2060L 12回。それにKcl 100g、塩50g、砂糖200g、レバチオ、VADE、ビオスリー200g、トルミサン200g、血中Caが低ければCa剤(第2リンカルかボログルコン酸Ca300g

○抗生剤 2日目以後 ビクタス

以上が甚急性乳房炎のチェックリストです。あくまでも私が使っている現在時点でのリストですので、皆さんの治療とは違う部分があると思います

下は、手術道具のチェックリストです。

開腹手術 バリカンかカミソリ、石けん、イソジン、アル綿、コップ、目隠し

  ドレイプ120㎝×120㎝、接着剤G17、ペーパータオル10

  基本手術道具(把針器、鉗子5本、タオル鉗子6本、角針、丸針、大針、滅菌ガーゼ5枚)

  生食1リットル、抗生剤

  硬膜外針、キシロカイン6mlか塩プロ30ml

  縫合糸カセット

4胃変位  ガス抜き針

帝王切開 套管針(第1胃のガス抜き用、横臥左切開の時)、子宮鉗子

  滅菌タオル3枚(腐敗胎児の場合は10枚)。タオル鉗子6本。ペーパータオル10

  10%トラネキサム酸30ml、プラ二パート10ml、生食3リットル

  タオル鉗子610本(座り込み時用)

腸捻転 腸鉗子2本、カットグット(針付細糸)、生食3リットル、滅菌タオル3

第1胃切開 滅菌タオル3枚 、タオル鉗子6本、生食3リットル、ドレイプ2枚

(第4胃切開) 第3胃異物除去の場合は長さ1.5m10㎜のホース、ジョロ、長さ1.5m26㎜のホース

腸管破裂 生食2040リットル(40度の湯10リットルに塩90g)

膀胱破裂 20Frのバルーンカテーテル

尿道結石 結石粉砕用針(18G1.5インチ)

チェックリストとして、以前に記載しました手術の行動のためのリストもあります。


このチェック項目は、部下の獣医師がどの部分できてどの部分ができないのかを確認するために必要です。例えば帝王切開では。

○帝王切開の適応か。30分以内で判断できたか。母牛に負担がかからないように短時間で決める。

○畜主と相談したか。畜主に、リスクの説明

○準備品はそろっているか

○保定はどの方法か、なるべく埃の少ない環境を選ぶ。牛の座り込みや保定が外れたりのアクシデントの対応を準備する

○麻酔の方法は。 硬膜外麻酔を確実にできるか

○術前の術野消毒、ドレイプ処置はできたか

○皮膚の切開部位は、どこを何cm切るのか、左けん部か右けん部か、縦切開か斜切開か。奇形胎児、超過大児、腐敗胎児の時の切開部位の判断

○子宮弛緩剤を投与したか

○筋層の切開の時に止血を、しているか

○子宮を確保し、子宮の切開の前に、創外に出しているか

○子宮の切開創の長さは、十分か

○子宮の縫合は、ユトレヒト法で。起点と終点の結紮を3回以上しているか

○子宮の縫合後に縫合の隙間、子宮の裂創の確認

○癒着防止剤、抗生剤の投与はしたか

○死腔を作らないように、筋層を拾っているか

○術後の母牛の管理を畜主に説明したか

このようにチェックリストを作りA4用紙に印刷して、クリアファイルに入れて、診療車の取り出しやすい所に置いていれば治療前や治療後にチェックをして、漏れをなくすことができます。

通常の病気で治りやすいものはいいのですが、治りにくいものや、たまにしか出ない病気、重い病気、通常よく行う動作などについてリストを作り行動をチェックすることは有用な手法です。


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by agricoach | 2017-03-28 23:42 | 行動科学

帝王切開を例に 4

次に帝王切開のチェック項目を考えてみます。


以上のように、帝王切開の行動の分析を行います。次に今まで書き出した行動から行動のチェック項目を考えます。このチェック項目は、部下の獣医師がどの部分できてどの部分ができないのかを確認するために必要です。


○帝王切開の適応か。30分以内で判断できたか。母牛に負担がかからないように短時間で決める。○畜主と相談したか。畜主に、リスクの説明

○準備品はそろっているか

○保定はどの方法か、なるべく埃の少ない環境を選ぶ。牛の座り込みや保定が外れたりのアクシデントの対応を準備する

○麻酔の方法は。 硬膜外麻酔を確実にできるか

○術前の術野消毒、ドレイプ処置はできたか

○皮膚の切開部位は、どこを何cm切るのか、左膁部か右膁部か、縦切開か斜切開か。奇形胎児、超過大児、腐敗胎児の時の切開部位の判断

○子宮弛緩剤を投与したか

○筋層の切開の時に止血を、しているか

○子宮を確保し、子宮の切開の前に、創外に出しているか

○子宮の切開創の長さは、十分か

○子宮の縫合は、ユトレヒト法で。起点と終点の結紮を3回以上しているか

○子宮の縫合後に縫合の隙間、子宮の裂創の確認

○癒着防止剤、抗生剤の投与はしたか

○死腔を作らないように、筋層を拾っているか

○術後の母牛の管理を畜主に説明したか

@「ピンポイント行動」


ピンポイント行動とは、一連の行動の中に潜む、「結果に直結している行動」のことをいいます。これだけは確実にやる行動のことです。帝王切開のピンポイント行動は以下の3つです。


1.5分~30分以内の、手術開始の判断。(母牛の産道損傷や汚染しないよう、子牛が衰弱しないよう。)

(子牛の生存率を上げ、母牛の受胎率をあげるためには難産介助を長い時間行い母牛の子宮内を汚染させ胎児を衰弱させ母牛を衰弱させるのではなく、いかに迅速に手術の判断をするかにかかっています。)

2.術式の的確な判断。(過大児、奇形児、腐敗胎児、起立不能時などの時に、立位か横臥位か、左か右か、切開場所、切開長はなど)

3.汚染を防ぐ対応。(清潔な術式、環境対策、座り込みなどのアクシデントへの対応)

以上のように、「帝王切開」について行動科学では考えます。


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by agricoach | 2017-03-28 23:31 | 行動科学


2冊目の本ができました。今回の本はイラストをいっぱい入れています。       メールは kagryt5297wexv@btvm.ne.jp まで。


by agricoach

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