稲のWCSの質について
最近稲のWCS(ホールクロップサイレージ)をやっている農場があります。
飼料用の稲を穂が硬くなる前に穂ごと収穫してロールのサイレージにする方法です。
輸入飼料に頼らないことを目指して非常にいい手法ですが、収穫方法の問題で質の悪いものができ、牛の調子が悪い農場をよく見かけます。
飼料稲は田んぼに植えていますが、収穫の時に田んぼの土の水分が多く柔らかいので収穫用のトラクターやハーベスターのタイヤに土が付き、ラップする時にそれが混入しています。土はカビが住んでいるので、土が入るとWCSの中で増えてカビだらけになります。
飼料稲を植えている田んぼのまわりには普通の稲を植えていて、飼料稲を刈り取る時期はまだ田んぼに水が入っています。そのため飼料稲用の田んぼだけを水抜きして乾燥させることはできません。
そのため収穫しにくいので、収穫時期を遅らせて田んぼが乾燥してから収穫しています。
その頃になるとモミが硬くなります。モミの中にはコメが出来て栄養はあるのですが、(成分分析に出すと、すり潰して葉っぱもモミも粉にして分析するので成分は高くなる)モミを消化できないのでそのまま糞に出てきます。つまりワラみたいのを食べさせているのです。
ワラに近くなるとタンパク質も養分も少なく、栄養不足になります。そのため発情が来ません。
カビの影響と栄養不足のダブルパンチで調子が悪くなります。
稲のWCSは、輸入飼料に頼らなく、栄養成分も申し分ない、非常にいいエサです。
土を混入しないこととモミが柔らかい時期の収穫。作るならそのことをしっかり考えて作ってください。
by agricoach
| 2017-05-16 22:56
| 技術