@ フラットな組織
ピラミッド型に対して新しい形として、くもの巣型を話しましたが
次は、「フラット型」です。
あるメガネ会社のことです。
平本清さんは、以前他のメガネ会社に勤め29歳の若さで部長にまでなっていました。ところが36歳のとき社長交代のとき、社内の派閥争いが起き、新社長の方針に反対だった平本さんは結局退職しました。
「仕事をするための根回しが8割で仕事をしているのが2割。派閥によって提案のいい悪いが決まってしまう。だから、どの派閥に入る方が得か、誰に付けば得かなどいつも考えている。」
昭和61年、ともに退社した同僚たちと新会社を設立、社内の上下関係や出世争いに捕らわれず、客との関係だけに専念できる組織をめざしました。
管理職を取り払い、部長、課長もいなく社員をみんな平等にしました。
日本で一番つぶれにくい会社にするために、生産性のない管理職をなくしました。
社長は、社員の総意で選ばれ、任期は最長4年、60歳で定年。代表取締役の社長も法律上必要なために置いているだけで、経営上の権限は一切ありません。
社員全員が売り上げに直結した仕事をする。その結果、創業以来19年で売り上げが40倍、直営店舗が22まで成長しました。
上下関係が厳しいと、平社員は上司の評価を得ようとしてあくせくし、一方上司も本部の課すノルマをこなそうとキュウキュウになります。
そこで、平本さんはノルマをなくすとともに、管理職を廃し、本部や上司を気にしなくてすむようにしました。
すると、特に若手社員たちが自分から考えて接客するようになりました。
ベテラン社員には昇進という意欲がなくなってします。そこで、社員に出資してもらい、利益のほとんどを社員に還元します。その際出資額に応じて利益を分けます。ベテラン社員は出資額を増やしやすいから。
会社の利益が上がれば社員も利益が増えます。この仕組みによって意欲を維持できます。
また、お客の満足を感じることが、社員の喜びとなります。
会社の方針決定は、メールの掲示板で社員全員が見れるようにしました。ここに本部や各店舗は決済を求める提案をすべて書き込みます。設備投資、人事異動、新規の出店計画など。こうした提案は2日以内に反対意見がなければ社員全員が黙認したとみなし、すぐに実行に移せます。
「結果が出た後に、ああだこうだという評論家は生産性がない。意見があるなら、計画が始まる前に言いなさい。黙っていたら賛同したとみなします。」これですごく効率が良くなったそうです。
このしくみは、決済を迅速に効率よく行なえるようになりました。通常、決済には何人もの上司の判子が必要だし、案件によっては会議での承認がいります。しかし、この会社では社内ネットに書き込むだけ。管理職にお伺いを立てたり、根回ししたりしなくていいのです。
普通書き込みから計画実行まで1週間もかかりません。
提案をして意見を言ってもらうには、すべての情報を社員に公開していないと言えません。
だから社長と同じ情報が社員全員に行きわたっています。
会社の収支や損益計算、社員の給料も全員が知れます。
若い人が情報を持っていなければ提案できません、情報がないから思い付きを話してもほとんど却下されます。1、2回誰かが却下されているのを見れば、だれも提案しなくなります。情報が伝わっていれば、それがありません。また、部署を超えて意見、提案を言えます。
支配をするには情報を制御すればいいが、統治するには情報をすべて公開するほうが統治しやすい。
社員がモチベーションを持てるのは、出資者でもあるので会社がつぶれると出資がパアになる。
だから、一生懸命に働くのです。
by agricoach
| 2005-11-11 22:59
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